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建設業界の企業における事業再生

慢性的な人材不足や資材価格高騰といった要因によって、建設業界でも企業の経営難や倒産といった問題は深刻化しており、廃業や事業再生について考える建設業者も少なくないでしょう。このページでは、建設業界の現状や事業再生についてまとめました。

建設業の現状

2023年の倒産件数は1671件(前年比+38.8%)

建設業_倒産件数の推移_2014年~2023年

※帝国データバンク「全国企業倒産集計 2023年12月報・2023年報」をもとに作成
https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/pdf/23nen.pdf)【PDF】

帝国データバンクが発表した2023年版の全国企業倒産集計によれば、2023年における建設業の倒産件数は1,671件となっており、2022年の1,204件に対して前年比38.8%増という深刻な状況に発展しています。

倒産の理由としては人手不足や資材価格の高騰、また後継者の不在など様々なものが考えられますが、建設業は個人の住宅の建築や公共事業によるインフラ整備や施設の建設、また工場や商業施設の建築など日常の生活から産業分野・工業分野に至るまで多種多様な基盤を支えている業界であり、日本全国で等しく重視されている業種です。

そのため建設業の倒産増加や経営難は各企業だけでなく地域経済や日本経済の根幹にも影響を与える問題といえます。

※参照元:帝国データバンク「全国企業倒産集計 2023年12月報・2023年報」
https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/pdf/23nen.pdf)【PDF】

倒産急増の背景は「資材の高騰」と「人手不足」

建設業の倒産件数が急増している背景には、日本社会における慢性的な少子高齢化による労働人口の減少や、職人や従業員の高齢化による引退・離職といった人材不足、また円安や原油価格の上昇といった影響による輸入資材や建築資材の価格高騰、燃料費の増大など様々な問題があると考えられます。

経営的に黒字状態でも倒産する企業が増加

また、コロナ禍で海外メーカーの工場の操業などが停止したことにより、住宅建築や工場建設などに必要な資材や部材が入荷されず、建物が完成しないために住宅ローンや不動産ローンの手続きが停滞して顧客からの支払いが行われなかったといった問題もありました。この結果、企業として収入がない状態でありながら、取引先の企業や従業員に代金や給与などを支払わなければならなくなり、手元現金がショートして経営が立ちゆかなくなる黒字倒産といった問題も深刻です。

2024年には更なる建設コスト上昇・倒産増加の可能性も

日本全国で最低賃金の上昇が続いている一方、国際的な情勢不安は依然として続いており、さらに2023年10月からインボイス制度といった新税制もスタートするなど、企業にとって支出や負担が膨らむ要因は少なくありません。また給与額は高くなっているのに物価上昇がそれを上回る勢いで伸びており、実質賃金で見れば2023年10月時点で19ヶ月連続のマイナスになっているという状況も、人手不足が続く中で従業員のモチベーションを維持する上で問題です。

加えて、2024年には働き方改革関連法による残業時間の上限規制や建設業界の労働環境改善に向けた制度もスタートするため、人件費が一層に高騰したり人材確保がいよいよ困難になったりといった問題も控えています。

建設業の資金繰りが悪化する5つの原因

建設業の企業倒産が増加する原因としては資金繰りの悪化や資金調達の困難も挙げられますが、そもそもどうして建設業ではキャッシュフローの悪化が生じやすいのでしょうか。ここでは一般的に考えられる建設業の資金繰り悪化の原因をまとめました。

入金サイトが長い

建設業の資金繰りの悪化や黒字倒産といった問題の原因でもありますが、建設業界はそもそもサービスの提供から入金までの期間が長くなりやすいという性質があります。

例えば個人の住宅を建てるような場合、住宅ローンや不動産ローンは物件が完成した時点で融資されますが、物件の完成までに数ヶ月を要するような場合は建設業者や不動産会社などが従業員や取引先への支払いを先行しなければなりません。また公共事業などの大規模建設の場合、さらに工期が長くなる上、支払いは竣工後に行政の手続きが終わってからになります。

先行するコストが大きい

入金サイトの長さと関連する問題として、建設業者が先行して支払うコストや負担が大きくなりやすいという点も重要です。

特に建設業では重機や工事用車両といったツールを用意しなければ作業を行えず、また建材・資材といった材料を購入して建物を組み上げていくという工程になります。そのためどうしても物件が完成して代金が支払われるまでに自社で立て替えなければならない費用の金額が大きくなり、工期の乱れや社会情勢の悪化などのリスクで負担が一層に増加する恐れもあるでしょう。

赤字受注が多い

建設業では価格競争などによって支出のバランスや工事の原価管理が適正化されていない案件も多く、長年の付き合いや会社の関係によって赤字受注を要求されるようなケースも少なくありません。また、赤字受注を引き受けることを条件に、次の黒字発注をするといったことを持ちかける企業も存在します。

明らかに下請けに不利な契約は下請法違反に該当する可能性がありますが、実態として赤字受注が横行していることは無視できません。

銀行融資が通りにくい

銀行などの金融機関からの融資は、原則として利息を含めた返済を前提としている営利目的の契約です。そのため、そもそも返済困難になって負債が焦げ付くリスクの大きな会社や事業に対して、金融機関は融資を積極的に行いません。

つまり建設業は必要とする金額の規模が大きい上に、そもそも事業性としてリスクが懸念されるため、銀行としては特に中小規模の建設業者などに対してどうしても融資審査で慎重になってしまうこともあります。

元請けの立場が強い

赤字受注の問題とも関連しますが、建設業界において大きな工事や公共事業などが発生する場合、親会社が発注者から仕事を請け負い、改めて下請けや孫請けに業務の一部を再委託するという状態が一般的です。加えて公共入札などに参加できる業者には相応の資格や実績が必要になり、中小規模の建設業者では下請けや孫請けとしてしか仕事を受注できないことも珍しくありません。

すると必然的に元請けの立場が強くなり、無茶なオーダーや赤字受注も起こりやすくなります。

資金繰りを改善するための5つの対策

建設業は資金繰りが難しい業種でありますが、一方で困窮する現状を乗り切れば高額の入金でキャッシュフローが黒字化することも珍しくありません。そのため、資金繰りを改善して経営を維持するための対策を知っておくことも必要です。

資金繰り表を作成し、入出金管理を徹底する

資金繰りの健全化やキャッシュフローの安定化を目指す場合、何よりも先に自社の支出データについてしっかりと視覚化し、入出金の額や発生日などを細かくチェックすることが不可欠です。

また、先行支払いや入金予定日、売掛金の額などを資金繰り表としてまとめて、どのタイミングでどの程度の債務や債権が発生しているのか、常に把握しておくことも必須です。

経営状況や収支管理は資金繰り改善策の基盤になることを理解しておきましょう。

案件ごとに原価管理を行い、赤字受注を避ける

月間の収支や年間の収支、取引先ごとの収支という大きな枠組みで見るだけでなく、それぞれの案件ごとに原価管理や予実管理を行って、赤字受注が発生しないよう収支マネジメントをしていくことも必要です。

また元請けの立場を使って赤字受注を押しつけられたり、赤字受注でも引き受けなければ仕事が見つからなかったりといった状況が続くようであれば、取引先の見直しや自社の事業規模にマッチした案件の選定などを抜本的に考えなければなりません。

売上の大きさだけで受注を決めない

高額案件は経営者にとって魅力的に見えますが、建設業では代金が大きくなるほど先行投資や先行支払いの必要性も増大しやすくなります。そのため売上規模や案件の代金の額だけを理由に仕事を受注した場合、思いがけない事態が起きた時点で手元現金が失われてショートしてしまうリスクと常に隣り合わせの状態になってしまいます。

事業成長を目指すために大きな案件を受けることも必要ですが、まずは自社の事業規模に見合った案件を受注して経営の土台を強化してください。

入金サイトの見直し・交渉を行う

役務を提供した日や商品を販売した日から、入金までの期間が長い場合、取引先との契約を見直して入金までの期間を短縮してもらえるよう交渉することも大切です。また、逆に自社の手元現金がどうしても不足している場合、取引先に対して支払期日の延長などを相談することもあるでしょう。

なお、売掛金などの債権がある場合、債権をファクタリング会社へ売却するファクタリングサービスで資金調達することも可能ですが、ファクタリングには手数料がかかるため想定していた金額よりも利益は減じてしまいます。

銀行や日本政策金融公庫から融資を受ける

企業としてまとまった資金調達を行いたい場合、やはり金融機関などからの融資を検討することも大切です。ただし融資には審査があり、事業の計画性や収益性に不審があれば融資を受けることはできません。

また民間の銀行で融資審査に落ちてしまっても、日本政策金融公庫の融資であれば受けられる場合もあります。とはいえ公庫融資にも審査はあるため、きちんと事業計画や収支管理表を作成することが必要です。

事業再生・立て直しを正しく行うためには?

事業の再生や立て直しには、適切な方法・手順とスピード感が重要です。しかしほとんどの社長、とくに中小企業の経営者は事業再生に関するノウハウをご存じなく、金融機関や保証協会との付き合い方に失敗し、安易に破産という道を選んだり、経営者としての再起ができない状況に陥りがち。

そうなる前に必要なのは、状況を相談できる相手。経営の悩みをしっかりと理解し、経営者の立場から助言をくれるアドバイザーを用意しておくことです。

本メディアでは、悩める中小企業の経営者の方に向けて、自らも多額の負債から立ち直った経験を持つアドバイザー・三條慶八氏について紹介しています。

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三條 慶八
三條 慶八
   

自らも経営の経験を持ち、阪神・淡路大震災によって140億の負債を負うが、自力で立ち直った経験を持つ。悩める経営者の方へのアドバイスを行い、これまでに1,500社以上の事業立て直しに関わってきた実績あり。(2024年5月時点)

三條先生への経営相談
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