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中小企業では、社長の経営手腕が大きく影響していることからも、次世代への引き継ぎは慎重におこなわれます。事業継承には、社長の引き際と次世代への配慮が必要といえます。
経営者が引退を考えた際、選択肢は事業継承か廃業かのどちらかになります。高度経済成長期が終わりを迎えた頃は、就職先を探すよりも親の事業を継いだ方が良いという向きがありましたが、近年では子供に継がせるのは「負の遺産」になるのではないかと心配する経営者の方が多く、実際問題、事業継承をしないで廃業を選ぶ経営者が目立って多くなっています。その背景としては、大手の寡占化が進み中小企業が利益を上げるのは難しくなっているだけでなく、社会保険や働き方改革などで大幅にコストがかかるようになってきていることも影響しています。
また、先行き不安な経営状態だけでなく、豊かな時代に育った後継者に対しての不安を感じる経営者も少なくありません。昔よりも充実した教育環境ではあるものの、経営者としての気概不足を感じるようです。苦しい状況を乗り切る、強い気持ちはあるのだろうかと。逆に後継者の方でも事業継承に反発心を持つ場合もあります。会社の負債を個人保証として迫られてしまう事からも、「自分が作ったわけではないのになぜ」と反発する方も少なくないのです。
とはいえ、経営不振の会社でも、正しい手順で再生に成功した2代目や3代目はいます。最初は頼りないかもしれませんが、後継者に引き継いだら、以後は口を挟まないのが上策。いつまでも「おれの会社だ」という考えは、会社の足を引っ張るだけだと思った方がいいでしょう。
危機的状況から会社を守れるようになるためにも、いつまでも守るのではなく、失敗経験を積ませ、周囲との協調を図りながら事業継承を進めていくのが大事。次第に経営者としての気概が作られてきます。
人生100年時代と言われているだけあって、次期社長候補がしっかりと育っていても、いつまでも第一線から退かない経営者もいます。継承者をいつまでも補佐役にすることは、経営者として全責任を負う経験を積む機会がないままにしてしまいます。
逆に、社長が元気な間にたくさん失敗を積ませた方が、社長もフォローができ、回避策を実践から身につけていく事ができます。そうして、いざ独り立ちした際に生じるさまざまな問題に、臨機応変に対応できるようになります。
老いを感じ始める年齢になると、引退を考えるようになります。
とはいえ、社長の中には自分の会社だからと定年を意識しないままの方もいます。どんなに元気そうでも、確実に体力・気力・知力が衰えてきています。厄介なことに、50代を過ぎた人間というのは、自分を変えることが難しく、新しい発想を受け付けない傾向が強くなります。特に現在は、AIなどの新技術が目覚ましく発展しており、これらを苦手に感じている老経営者は少なくありません。
時代の進化に乗らない事は、事業にとって致命的になることもあります。そうした状況に追い込まない、社長の能力が低下していないうちに、後継者にバトンタッチするのが良いでしょう。
元気なうちに引退を勧める事は、金融機関の意向も関係しています。金融機関から見て、社長が70歳を超えているのはデメリットはあってもメリットはないと見ることがほとんど。しかも、いつまでも社長でいるのは、適材と思える後継者がいないといった印象を与える事にもなりません。
中堅中小企業では、「会社の経営状況=社長の経営手腕」となっていることが多い事からも、後継者は重要な経営課題にもなっています。ただ、いくら腕の良い経営者でも、いつまでも居続けるのはメリットよりもデメリットの方が強くなってしまいます。
大切に育てた会社だからこそ、社長が元気なうちに引退した方が、新しい社長の成長をフォローもしやすいもの。結果として会社を守ることにつながりますので、引き際を意識するのが事業継承では大事といえます。
自らも経営の経験を持ち、阪神・淡路大震災によって140億の負債を負うが、自力で立ち直った経験を持つ。悩める経営者の方へのアドバイスを行い、これまでに1,500社以上の事業立て直しに関わってきた実績あり。(2024年5月時点)